当記事は以下の続きです。まだ読んでない方は、まず以下の読んでください。
無職に焦る23歳「油まみれの手は嫌。IT資格を取って転職だ」
もうすぐ24歳になろうとしていた2003年の8月に、パソコンインストラクターへの再就職が決まった私。
約半年間の無職から開放され、毎日楽しく仕事が出来る喜びから、周りを気にせず喋りまくる「空気が読めないパソコンインストラクター」になっていました。
また、『以前から自分の考えが一番正しい。他人の意見など聞く耳は持たない』など、傲慢でワガママな性格でもあり、知らない間に上司や先輩たちに迷惑をかけていましたが、それを正してくれたのは元ヤンキーの上司。
この方には本当にお世話になりました。
仕事でモチベーションを上げることに長けた上司
私がお世話になった元ヤンキーの上司からは以下のことを学びました。
- 社員一人ひとりが大切
- 常に謙虚な気持ちで他人の良い点を探る
- モチベーションをあげる発言
これらをしっかり学んだお陰で今の私があると言っても過言ではありません。
頭が良かった元ヤンの上司を舐めていた私
パソコンスクールに入社した当時の私は23歳。そして後々尊敬する人となる上司は26歳。たった3つしか歳は離れていませんが、この人はとても頭が良くて仕事ができる方でした。
しかし、私は元ヤンキーということしか知らなかったため、「ヤンキー上がりの人間のクセに偉そうにしやがって」と完全に舐めていました。
「何やっても中途半端でロクに仕事も出来ないんだろう。俺なんか5年も社会人経験しているんだから、こんなやつに負けるはずが無い」と勝手に決めつけ言うことを聞かなかったのを思い出します。
しかし私が5年間勤めた製袋工場で殆ど何も身につけていなかった私は、この上司と比較して優れているところは何一つありませんでした・・・。
にもかかわらず、ヤンキーはダメな人間、自分は出来る人間と考え、完全に自惚れていたのです。
本当に失礼な話ですよね・・・。
自惚れてわがままだけど他人の発言が気になる自分
私は中学生くらいから「自分の判断は間違っていない。周りの人間は大したことない。オレは凄い人間だ」という自惚れた性格でした。
また、自分の意見が通らないと不機嫌になる子供のような我がままな所もあり、友達を思いやる気持ちに欠けていたのです。
当時の友人はそんな私に文句を一切言わず、いつも私に声を掛けてくれた事に今は感謝しかありません。
自惚れが過ぎた私ですが、服装や髪型などといった見た目の事、他にも勉強ができない事を指摘されると酷く傷つき、そのことで何日も悩みました。
こうやって改めて当時を思い返すと、強がっているクセにメンタルが弱い自分が本当に自分が恥ずかしくて情けなくなります。
転職してインストラクターになった後は、傲慢な態度と自惚れは変わるどころか、これまで暗い工場で仕事をしてきた殻から脱出できた喜びで益々エスカレートしていきました。
会議で空気が読めず的外れな発言をする自分
就職して2ヶ月後のある日、会議がありました。
議題は「どうすれば受講生に満足してもらえるスクールになるか」。
会社は強制発言を求めるような事はしませんが、出された意見が素晴らしいものであれば積極的に採用するという前向きな風潮がありました。
そのため、上司や先輩を問わず多くの社員から「新しい講座を作ろう」や「既存講座もより満足してもらうように改良をしよう」など、素晴らしい意見が飛び交います。
私もみんなに負けじと手を挙げ、「僕は制服を変えるのが良いのではないかと思います」とほぼ無関係の意見を出したのです。しかも堂々と・・・。
すると他の社員や上司たちは「え!?何言ってるのこいつ」といった表情を見せましたが私は理由を述べて着席。
まさに空気が読めていないとはこのことです。
社員は全員良い方でこんな私の的外れでバカな発言にも耳を傾けてくれましたが、当然採用されません。
そんなこんなで会議も終わり、帰り支度をしていたときの事、「○○クン。ちょっといいかな」とヤンキー上司に呼ばれたのです。
「早く帰りたいのに」と思っていながら、上司の傍へ行くと・・・
上司の注意でへこむも新人をバカとは言わなかった
「○○クン。さっきの発言は何だよあれ。全然関係ないことだろ?思ったことを発言するんじゃ無くて、周りの意見を良く考えて発表するようにしなさい」
と私は発言したことを注意されました。
「自分としてはよい発表をしたと思ったんですけど・・・」と反論しましたが、
上司は深くタメ息をついて「そう思っているのは誰だ?みんなか?はっきり言ってお前だけだろ!」と強い口調で言い返されました。
更に続けて
「いいか。○○クン。会議というのは会社がどうすればよくなるかを考える場所だ。
更に言うとみんな他に仕事が残っているにもかかわらず、時間を割いて意見交換しにここに集まっている。
それなのに、あんな発言して全く関係ない事を言っていると自分でも思わなかったのか?キミが就職したばかりだというのはみんな知っているけど、そんなの理由にならない。
入社して2ヶ月だぞ。そろそろ会社に足りないものが何か見えてきてもいいんじゃないか?。
新人だってどうすれば会社を浴することが出来るか位わかるはずだし、オレ達は新人の意見だって良いものであれば採用したいんだ。それをしっかり考えてくれ。」
と強い口調で指摘されました。
確かに上司の言うとおりです。私のような就職して間もない『ペーペー』にでもできる事はあるのに、自惚れて的外れな発言をしたことに気付かない自分は、この上司をバカにできるような立場でな無いということにようやく気付かされました。
入社2ヶ月でやっとこの上司がどれだけ私のことを考えてくれていて、会社のためにできる事を模索しているか、社会人経験5年以上の人間がやっと気付いたのです。
しかし、怒られた私はとても清々しい気持ちになりました。その理由は、「新人であっても素晴らしい意見なら採用したい」と言ってくれたから。
他人はどうでも良いではなくお手本にすると教わった
最後に上司から言われたことを紹介します。それは、他人をどうでも良いと考えるのではなくお手本にしろです。
上司は、入社した当時から私が自惚れで傲慢であるということに気付いていました。
「周りの意見に一切耳を傾けず、自分は何でも出来る人間だと勘違いしている。いつかビシっと言い聞かせないとダメだ」と。
それを見抜いていたから会議で私を呼び出し叱責してくれたのです。
上司はよく言っていました。「オレはみんなと違ってバカだから、努力することしか出来ないし、みんなのいい所を見つけて自分のスキルを伸ばしたい」と。
「どうしてそんなことを言うんですか?」と聞き返すと
「オレ実は昔ヤンキーで色んな人間と会ったり危ない遊びもしたけどさ、やっぱみんなスゲーやつばっかりなんだよな。
オレが知らないことを知っていたり、できない事がっ出来るヤツもたくさんいて、自分の力なんてちっぽけなものなんだっていうのが良く分かったんだ。
でも、そいつらの良い所を取り入れるうちに、自分が成長できる事に気づいた。
だからオレはみんなの良い所を見つけたいんだ。
オレは誰にも負けたくねーから、そうやって毎日成長するんだ。だから○○クンももっとでっかい人間になろうぜ」
と嬉しそうに語る姿を見てこの人が上司で本当に良かったと思いました。
社員のモチベーションを挙げてくれる上司
あの会議での注意以来、書類の整理や補充など、自分にできる事は何かを見つけて仕事をするようになった私。
すると「○○クンはいつも細かいところに気付いてくれて助かるよ。オレは大雑把な性格だから絶対に気付けない。だから本当にありがたい。他の社員もありがたいって言ってるよ。」
と褒めてくれるのでモチベーションがあがり、仕事にやりがいを見出せるようになっていったのです。
「○○さん。僕のやっていることが本当に皆さんの役に立っているんですか?書類整理って誰でもできる事しかやっていない自分が情けないです・・・。」
と言うと、「そんなことねーよ。○○クンだからできる事なんだよ。他の社員を見てみろよ。電話や生徒対応で出来ない人も多いだろ。
いつでも必要な書類がそろってるって事は、それだけで生徒様をお待たせしないって事だから、これほど重要な仕事は他には無いくらいなんだぞ」
と更に嬉しい言葉をいただいて自分への自信につながったのと同時に、この上司のお陰で私の心からマイナス思考が少しずつ無くなっていきました。
部下の叱り方がうまい元ヤン上司。相手を思うのがポイント
「会議の時に怒ったけどアレだって感情に任せて怒ったわけじゃないんだ。
怒る時ってものすごいエネルギーが必要なんだけど、なぜだかわかるか?
ただ怒鳴るなら誰でもできるけど、感情が高ぶったときこそ冷静に言葉を選んで怒らないと相手には伝わらない。
じゃー、どうやって怒るのが正しいかっていうと、相手にどうなって欲しいか思い浮かべながら怒るのが思いを伝える一番の方法なんだ」
パソコンインストラクターに転職してから、私は上司をはじめたくさんの人々と出会ったお陰で自分の性格を変えることができました。
それには上司の存在が大きく今でも感謝しています。
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